2012-11-10

あくまで「初めての人」向け,しかし優れた教本:高橋麻奈『やさしいJava (第4版)』


あくまで「初めての人」向けであり,「初心者向け」でもない.
しかし,最良の本である.



自分の現在の仕事の半分は Java でアプリケーションを書くことであるが,そんな Java を最初に勉強することになったときにパートナーとなったのが,この「やさしいJava」だった.

この本の良い所は,「わからない人の立場に立つ」ということだ.

かなり具体的な例になってしまうけれども,例えばこの本では,いたるところで以下の2行を使う.
BufferedReader br = new BufferedReader(new InputStreamReader(System.in));
int i = Integer.parseInt(br.readLine());
 今となってはなんてことのない2行であるし,あぁ例外処理をしないといけないなぁ,とか,数字じゃないものが入力されたらどうするのよ,という問題点も思い浮かぶようになったけれども,この本を読み始めてすぐのころは,この2行は完全におまじないだった.

しかし,それでいい.少しずつ, BufferedReader というクラスの存在を知り,static method という存在を知り, int と Integer の違いを知れば良いのだと思う.

とにかく,本全体を通して「こう書いたらこう動きます.なぜならこうだからです.こういうおまじないがありますが,そのうちわかるんで今は鵜呑みにしてください」というポリシーが貫かれている.
「初めての人」はそれで良いし,もっとも「立ち上がり」が早いと思う.

もちろん,この本はいずれは「卒業」しなければならないのであり,読者はそのことを自覚するべきだと思う.
高橋麻奈はこの続編としてやさしいJava 活用編 や,やさしいJava オブジェクト指向編を出版しているけれども,内容的には「やさしいシリーズ」のテンションで乗り切るべき内容ではないと,個人的には考えている.

あと,ひとつ注釈をつけるとすれば,どうやらこの本の著者は C++ ネイティブであるように思われる.
プログラミング言語というのは,それぞれの言語に依って,あるべき改行やスペースの置き方などに「作法」があるものだ.
参考書によっては紙面の都合でこの作法を崩すことは往々にありえるが,この本は少々その事情とは異なっている.『やさしいJava』の中では,ところどころ C++ の作法に従った改行を行なっているところがあるので,読者は,この本の中のコーディング作法が一般に受け入れられているわけではないことを理解するべきだとは思う.

この本で Java の基礎をおさえた後に,次に目指すのはどういう場所なのだろう?ということは,別の記事にて扱おうかと思っている.

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